歯科医に傷つけられた私の夢
私がまだ小学生だった時のことです。私が住んでいたマンションの隣に新しい家族が引っ越してきました。パパと若くて綺麗なママと可愛い女の子でした。私はママと女の子とはすぐに親しくなりましたが、パパには会う機会があまりありませんでした。ある時マンションの納涼祭があり、私は家族て参加しました。そこで隣のパパと久々に会い、私の両親は親しくなりました。隣のパパは歯科医で開業医でした。それを知った私の母は隣近所のよしみでこれからはその歯科に通おうと私を誘ってきました。ある時、私は歯が痛くなって虫歯の治療に行くことになりました。もちろん隣のパパの歯科です。うちから歩いて15分くらいの、新しくて綺麗な歯科でした。私たちが到着すると隣のパパがわざわざ出てきてくれました。私は当時歌手になることを夢見ていて、オーディションを何個か受けていました。なので私は銀歯を入れることに抵抗があり、それを歯科医である隣のパパに伝えました。するとパパはいきなり笑いだし、「歌手っていうのはほんの一握りの人しかなれないんだから、そんな理由で銀歯を入れないなんてバカなことを言うな」というようなことを言ってきたのです。私の夢をバカげた夢物語として笑い飛ばしました。けれど本気なんだと伝えると、また笑いながら受付の人や歯科衛生士さんに向かって「この子は将来歌手になりたいから銀歯しないよー」と言って紹介しだしました。私は恥ずかしさと悔しさと悲しさで逃げ出したくなりましたが、母の顔を潰してはいけないとその場は笑ってしのぎました。治療はというと、虫歯はそこまで進行しておらず少し削って終わりました。その後はもうあの歯科には行きたくないと強く母に言いました。母も恐らく悟ったのか、それ以上私に勧めてくることはありませんでした。あの日以来私は隣のパパに会ってもなるべく顔を見ないように挨拶しました。そして隣のママや女の子ともだんだん疎遠になりました。