歯科医が提案する費用を抑えた子供の矯正

本日は、小児歯科と矯正歯科を専門とされるO歯科クリニックのP先生に、費用の問題で子供の歯列矯正をためらっている保護者の方へのアドバイスを伺います。先生、子供の矯正費用は高額なイメージがありますが、費用を抑えながら治療を進める方法はあるのでしょうか。はい、確かに本格的な歯列矯正はそれなりの費用がかかりますが、お子さんの年齢や歯並びの状態によっては、費用を抑えながら効果的な治療を行う選択肢がいくつかあります。まず、「早期治療(第1期治療)」という考え方があります。これは、主に乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(おおよそ6歳から12歳頃)に行われる治療で、本格的なワイヤー矯正に入る前の準備段階と位置付けられます。この時期は顎の成長が活発なので、比較的簡単な装置(例えば、床矯正装置や機能的矯正装置など)を用いて顎の成長を正しい方向に誘導したり、歯が生えるスペースを確保したり、指しゃぶりや舌突出癖などの悪習癖を改善したりします。これにより、将来的に永久歯列期に行う本格矯正(第2期治療)の必要がなくなったり、治療がよりシンプルになったり、抜歯の可能性を減らせたりすることが期待できます。早期治療だけで済む場合や、第2期治療の期間が短縮されれば、結果的に総費用を抑えることにも繋がります。また、全ての歯を動かすのではなく、問題のある部分だけを対象とする「部分矯正(MTM)」という方法もあります。例えば、前歯の数本だけが少しガタガタしている場合など、比較的軽微な不正咬合であれば、短期間かつ低コストで改善できる可能性があります。ただし、噛み合わせ全体の問題を解決するものではないため、適応症例は限られます。さらに、最近ではマウスピース型矯正装置も、症例によっては従来のワイヤー矯正よりも費用を抑えられる場合があります。大切なのは、まずはお子さんの口腔内の状態を正確に把握し、どのような治療法が適しているのか、そしてそれぞれの治療法にかかる費用や期間、メリット・デメリットについて、歯科医師とよく相談することです。費用面での不安も正直に伝え、無理のない治療計画を一緒に立てていくことが重要だと考えています。