歯列矯正1年経過で見える変化とは?

歯列矯正を開始して1年。長いようであっという間だったこの期間に、口腔内にはどのような変化が現れているのでしょうか。多くの場合、1年も経過すると、治療開始当初とは比べ物にならないほど歯並びが整ってきていることを実感できるはずです。特に、前歯の叢生(ガタガタ)や空隙(すきっ歯)、あるいは軽度から中程度の出っ歯や受け口などは、この時点でかなり改善されていることが多いでしょう。鏡を見るたびに、歯が綺麗にアーチ状に並び始めている様子や、以前は気になっていた部分が目立たなくなっていることに喜びを感じる方も多いはずです。噛み合わせにも変化が現れます。以前は特定の歯だけで噛んでいたり、うまく噛み切れないことがあったりしたのが、より多くの歯でバランス良く噛めるようになってきているのを感じられるかもしれません。これは、単に見た目が良くなるだけでなく、咀嚼機能の向上にも繋がります。また、歯並びが整うことで、歯磨きがしやすくなるというメリットも出てきます。以前は歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多かった部分も、スムーズに清掃できるようになり、虫歯や歯周病のリスク軽減にも貢献します。横顔のライン、いわゆるEライン(鼻の先端と顎の先端を結んだ線)にも変化が見られることがあります。特に口元の突出感が強かった方は、歯が後退することで口元がスッキリとし、バランスの取れた横顔に近づいている可能性があります。ただし、変化の度合いは、元の歯並びの状態、治療法、年齢、そして何よりも患者さん自身の協力度(ゴムかけの遵守など)によって大きく異なります。抜歯を伴う矯正や、顎の骨格的な問題が大きい場合には、1年経過時点ではまだ治療の途中段階であり、さらなる変化がこれから期待されることもあります。いずれにしても、1年という節目は、これまでの治療の成果を振り返り、今後の治療へのモチベーションを高める良い機会となるでしょう。