お子さんの歯並びが少し気になるけれど、成長すれば自然に治るかもしれない、あるいは見た目だけの問題だからと、つい放置してしまっているケースはありませんか。しかし、不正咬合(悪い歯並びや噛み合わせ)を放置することには、見た目以外にも様々なリスクが潜んでいる可能性があります。子供の歯列矯正の意義は、単に歯をきれいに並べることだけでなく、これらのリスクを未然に防ぎ、お子さんの将来の健康とQOL(生活の質)を守ることにもあります。不正咬合を放置するリスクとして、まず挙げられるのが虫歯や歯周病になりやすいことです。歯がデコボコに重なり合っていたり、隙間が空いていたりすると、歯ブラシが届きにくく、食べ物のカスやプラーク(細菌の塊)が溜まりやすくなります。これにより、虫歯や歯肉炎、将来的には歯周病へと進行するリスクが高まります。次に、咀嚼機能の低下です。噛み合わせが悪いと、食べ物を効率よく噛み砕くことができず、消化不良を引き起こしたり、特定の歯に過度な負担がかかったりすることがあります。また、顎関節への負担が増え、顎関節症の原因となることもあります。発音への影響も無視できません。特に前歯の歯並びが悪いと、サ行やタ行などの特定の音が発音しにくくなることがあります。これは、お子さんのコミュニケーション能力の発達にも影響を与える可能性があります。さらに、外傷のリスクも考えられます。例えば、出っ歯の場合、転んだりぶつかったりした際に前歯を折りやすい、唇を切りやすいといった傾向があります。そして、心理的な影響も大きな問題です。歯並びのコンプレックスから、人前で話すことや笑うことをためらったり、内向的な性格になったりするお子さんもいます。これらのリスクを回避し、お子さんの健やかな成長をサポートするのが歯列矯正の大きな意義です。適切な時期に矯正治療を行うことで、これらの問題を改善・予防し、機能的で健康な口腔環境を整えることができます。また、美しい歯並びは自信につながり、積極性や社会性を育む上でもプラスに働くでしょう。顎の成長期にある子供の時期に介入することで、より効果的かつ負担の少ない治療が可能になる場合も多くあります。お子さんの歯並びが気になったら、まずは矯正歯科医に相談し、専門的なアドバイスを受けることが大切です。