歯列矯正を開始してから早いもので1ヶ月。この時期は、歯が動き始めることによる変化だけでなく、痛みや違和感との戦いの時期でもあるかもしれません。多くの場合、矯正装置を初めて装着した日、あるいはその翌日から数日間は、歯が締め付けられるような、あるいは浮いたような鈍い痛みを感じます。これは、装置によって歯に力がかかり、歯の周りの組織が反応している証拠です。特に食事の際、何かを噛もうとすると歯全体に響くような痛みを感じることが多く、柔らかいものを選んで食べることが推奨されます。この痛みは、通常、3日から1週間程度で徐々に和らいでいきますが、痛みの感じ方には個人差が大きいです。また、ワイヤーやブラケットといった矯正装置が、口の中の粘膜(頬の内側や唇、舌など)に当たって、口内炎ができることも少なくありません。これも地味に辛い痛みで、食事や会話の際に気になります。歯科医院で渡される矯正用ワックスを装置の当たる部分につけることで、刺激を和らげることができます。1ヶ月も経つと、最初の頃のような強い痛みは落ち着いてくることが多いですが、それでもまだ歯が動いていることによる軽い鈍痛や、噛み合わせの変化による違和感が続くことがあります。「なんだか特定の歯だけが強く当たる気がする」「以前とは噛み合わせが変わったような感じがする」といった感覚です。これは、歯が少しずつ移動し、全体のバランスが変化している過程で起こる自然な現象です。また、歯磨きにも慣れが必要な時期です。装置の周りには食べかすが残りやすく、丁寧に磨かないと虫歯や歯肉炎の原因になってしまいます。専用の歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを駆使して、時間をかけて清掃することが求められます。このように、歯列矯正開始1ヶ月は、変化への期待とともに、様々な不快症状と上手に付き合っていく必要がある時期と言えるでしょう。しかし、これらの経験も、美しい歯並びを手に入れるための大切なステップなのです。
歯列矯正1ヶ月痛みと違和感のリアル