矯正装置と滑舌変化!私の体験
私が歯列矯正を決意したのは、長年コンプレックスだった前歯のデコボコを治したいという思いからでした。滑舌については、それまで特に大きな悩みを抱えていたわけではありませんでしたが、矯正装置をつけた途端、自分の話し方がぎこちなくなったのには驚きました。私が選んだのは一般的な表側のワイヤー矯正でしたが、ブラケットやワイヤーが舌や唇の内側に当たる感覚は想像以上で、特に最初の数週間は口の中が常に異物感でいっぱいでした。まず顕著だったのは、サ行とタ行の発音です。舌先が装置に当たってしまい、うまくコントロールできず、なんだか舌足らずな、あるいは少し息が漏れるような音になってしまうのです。自分では普通に話しているつもりでも、友人から「なんだか今日、話し方が変だね」と指摘されたこともあり、少し落ち込みました。特に電話での会話は、相手に聞き返されることが増え、コミュニケーションに少しストレスを感じる時期もありました。しかし、人間とは不思議なもので、徐々にその異物感にも慣れていき、舌が自然と装置を避けて動くようになっていきました。歯科衛生士さんから「最初のうちは誰でも話しにくいものですよ。意識してゆっくり、はっきり話すように心がけるといいですよ」とアドバイスをもらい、それを実践しました。また、家で一人でいる時には、早口言葉を練習したり、好きな本の音読をしたりして、口周りの筋肉を慣らすように努めました。効果があったのかは定かではありませんが、気分転換にはなったと思います。装置をつけてから半年ほど経つ頃には、日常会話で滑舌を意識することはほとんどなくなっていました。そして、矯正治療が終盤に差し掛かり、歯並びが整ってくるにつれて、以前よりも言葉がクリアに出せるようになったと感じています。特に、気にしていたサ行の音が、以前よりもシャープになったような気がします。矯正治療中の滑舌の変化は一時的なものが多く、慣れと少しの工夫で乗り越えられるものだと、自身の体験を通して感じています。