歯列矯正治療を開始して1年が経過すると、歯並びはかなり整ってきますが、美しい歯並びと健康な口腔状態を維持するためには、適切なメンテナンスといくつかの注意点があります。まず、最も重要なのは、引き続き丁寧な口腔清掃を心がけることです。矯正装置がついている間は、どうしてもプラーク(歯垢)が残りやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシ、デンタルフロス、タフトブラシなどを効果的に使い、装置の周りや歯と歯の間、歯周ポケットなどを丁寧に清掃しましょう。定期的な歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング(PMTC)も、自分では落としきれない汚れを除去し、口腔内を清潔に保つために非常に有効です。次に、歯科医師の指示に従い、定期的な調整のための通院を欠かさないことです。1年経過した時点でも、まだ細かな歯の移動や噛み合わせの調整が行われています。通院間隔が空いてしまったり、自己判断で装置の調整を怠ったりすると、治療計画通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまう可能性があります。ゴムかけ(顎間ゴム)やその他の補助装置の使用が指示されている場合は、装着時間や方法をしっかりと守りましょう。食事にも引き続き注意が必要です。硬すぎるもの(煎餅、ナッツ類など)や粘着性の高いもの(ガム、キャラメルなど)は、矯正装置を破損させたり、外れたりする原因となります。装置が壊れると、その修理のために余計な時間と費用がかかるだけでなく、治療の進行も妨げられます。また、スポーツをする際には、マウスガードを装着するなどして、矯正装置や口の中を保護するようにしましょう。そして、何か異常を感じた場合(装置が外れた、ワイヤーが刺さって痛い、歯ぐきが腫れたなど)は、自己判断せずに速やかに歯科医院に連絡し、指示を仰ぐことが大切です。1年という節目を迎え、治療のゴールが見えてきたとしても、気を緩めることなく、歯科医師と二人三脚で残りの治療期間も頑張りましょう。
矯正1年後のメンテナンスと注意点